ついにTVアニメ『響け!ユーフォニアム2』の放送が始まりました。
原作1巻では(たしか)ほぼ未登場、アニメ1期でも完全にモブキャラで楽器の音こそあれどセリフは皆無のオーボエ吹き、鎧塚みぞれ先輩。
しかし、2巻(2期)以降では主要キャラへと躍り出ます。
1期のまとめ的なストーリーであるはずの劇場版でも、2期を意識したのか露骨にみぞれ先輩の露出(出番的な意味で)が増やされていました。
そこで、そんなみぞれ先輩のオーボエはどこのメーカーのどの型番なのか、オーボエ吹き(休業中)として全力で特定したいと思います。
……とまあ、2期スタートをきっかけに書いていますが、1期の放送分だけでもほぼ特定できるんですよねこれ。
※長々と書いていますが、結論は一番最後に書いてあります。経過がどうでもいい人はすっ飛ばしてください。
※オーボエを吹いていたことがあるだけで、楽器に関しては素人です。多少違ったことを言っていてもご容赦ください。
吹奏楽を経験したことがある方はご存知とは思いますが、基本的にオーボエは吹奏楽でもトップクラスに「学生に優しくない楽器」です。
・リードが消耗品かつ購入は高価(自作もできますが材料費と手間が掛かります。一般学生のレベルでやっている人はほぼ聞いたことがありません)
・楽器そのものが高価かつデリケート。(ゆえに屋外で吹く人はまずいない)
・運指が複雑かつキーが遠いので、幼少から始められない(指が届かない)。
・息の圧力を必要とするのである程度成長して呼吸器官が発達しないと吹けない
うしろ2つは今回の検討内容とあまり関係しませんが、ともかく高校生が用意・維持できるメーカーや型番はかなり限られてくるのです。他の管楽器に比べて特定はかなり容易な部類かと思います。
可能性としてありそうなのは、
国内メーカー
・ヤマハ ・ヨーゼフ
仏メーカー
・ロレー ・リグータ ・マリゴ ・フォサッティ
独メーカー
・いっぱいあるけど日本の学生レベルでは特筆するほど流通してないと思います。
米メーカー
・フォックス
あたりでしょうか。
色々挙げましたが、ぶっちゃけ検証前から「どうせヤマハでしょ」と思っていました。
あったとしてもロレー・リグータ・マリゴらへんかなと。
オーボエという楽器は、メーカーロゴが目立つ位置(だいたいベル前面)に刻まれています。
しかしアニメ内ではその描写がないため、以下から見当をつけることになります。
・リードの差し込み口周辺のぷくっと膨れた部分の形
・ベル(最下部の息が抜けていく部分)の形と周辺部品
・キーの色と配置
では早速、1期で楽器が映っているカットを見てみましょう。
コンクール本番直前、チューニング室で音出しが始まった瞬間です。
上しか映ってねええええええええええええええええ
(ベル周辺の方がメーカー毎の特徴が区別しやすい)
ただ、リードの差し込み口周辺(黒い部分で一番上)がかなりすっきりした丸みになっているこの形は、ヤマハかマリゴと思われます。
フランスメーカーの中で学生モデルと言える価格帯がある人気ブランド、ロレーとリグータの2社がこれで消えます。
マリゴにはいわゆる学生モデルがない時点でほぼほぼヤマハだろうなという話なのですが、ここからさらに詰めてみましょう。
原作の短編集によると、みぞれ先輩が使用するこの楽器は親に買ってもらったもの。
高校生にして既に買ってもらっている時点で、最低でも100万円前後(為替による)する仏マリゴの可能性はだいたい消えます。
また、2期1話の描写で右手薬指のキー(Dキー)がホールキーではないことが分かりました。
マリゴのDキーはホールキーです。
マリゴ910
赤矢印の部分がDキー。個々人でホールを埋めるカスタマイズができなくはないですが、高校生がそんな事しないでしょう。
Dキーと同様に2期ではベル部分のリングが嵌まっていないことが見て分かったので、マリゴの可能性は消えます。
ヤマハYOB-432
赤矢印が同じくDキー。こちらは穴は空いておらず、くぼみになっているだけ。
ベル部分をマリゴと見比べてみると、リングも嵌まっていません。
ということで、メーカーはヤマハであることがほぼほぼ確定します。
さらに突き詰めたいのは型番。
ヤマハが標準で用意しているオーボエは2つの価格帯が存在します。
安価な430番台か、あるいは830番台か。
改めて楽器の先端、リードの差し込み部を見てみましょう。
リード側の差し込み部はコルク製。
そのコルクと接触する、楽器側の差し込まれる部分は金属になっています。
左がYOB-432、右がYOB-832
シルエットは似ていますが、設計変更により差し込み部の金属が外面まで延長されているのが832の特徴です。
アニメを見てみると、外から金属部はうかがえません。
そして、ここまで細部を検証しながらも完全にスルーしてきたのが、キーシステム。
オーボエ吹きはすぐ気付くと思うのですが、フルオートなんですよねみぞれ先輩。
どうしてそこフルオートにした……? セミオートじゃないのか……?
オーボエにはオクターブのホール(リコーダーで言うところの、左手親指を半分開けたりするあの機能)が標準で2~3つ備わっています。
それぞれのホールにそれぞれのキーを備え、操作するキーを人間側が選ぶのがセミオート式です。
一方で、それらを1つのキーで済ませられるのがフルオート。他の部分の運指に応じて、その時々の開くホールが勝手に選ばれます。
こう書くとフルオートの方がいいじゃんと思われますが、
・ただでさえ複雑な機構の楽器がさらに複雑になりメンテナンス性が落ちる、壊れやすい
・楽器が複雑になる分値段も高い
・楽器の調子や個人の傾向に応じてその都度自分に合った運指を作れない
・普段セミオートの人がフルオートの楽器を吹くことはほぼ可能だが、逆は無理
というのがフルオートの欠点でもあります。
結果、数的にはセミオート式の方がプロアマ問わず多数派です。
では、話を戻してヤマハ430番台の2種、セミオート式とフルオート式の違いを見てみましょう。
左がセミオート(YOB-431)、
右がフルオート(YOB-432)の、それぞれ上管上部。
ただでさえごちゃごちゃしたオーボエのキー配置が、フルオートの方だと恐ろしいことになっています。
ということで、結論。
『響け!ユーフォニアム』鎧塚みぞれ先輩の楽器は、
「ヤマハ YOB-432」
でした。
国内メーカーの、最もリーズナブルな価格帯の型番。
さんざん引っ張りましたが、 結局一番無難なところに落ち着いた感じです。
……フルオート式であることを除けば。
ところで、さっきヤマハの430番台を「安価」と表現しましたが。
……YOB-432のメーカー定価は46万円です。
バチあたりたくないので書いておきますが、46万円は決して安価ではありません。
というか高価です。とても高価です。
あくまでオーボエという楽器の中ではかなり価格を抑えられている方だという話です。
むしろ、「安定した質の高いこんなオーボエをこの価格で提供できるヤマハすげえ」と言うべき状況。
「楽器」と呼べるレベルなら、初心者・学生モデルでも新品で最低40万くらいは見ておこうかーと、そういう世界な楽器なのです。
以上。
参考になるかは分かりませんが、アニメをご覧の際には是非気にしてみてください。
そして一応言っておきますが、これを書いている人はキャラクターでは
久美子が一番好きです大好きです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!